烏山の家

　金属外壁とナチュラルな居住空間の融合。経年劣化の少ない外装と、時間とともに味わいを増す内装を希望されたオーナーの意向から、金属サイディングのアウターシェルに無垢材と珪藻土の内装を組み合わせた住宅を設計した。一階と二階にまたがる大きな側面を航空機のフラップの様に起伏させ、無機質な性質のサイディングに躍動感を与えている。
メタリックな外観とは打って変わり、一歩中へ入ると優しい木の香りに包まれたナチュラルな空間が拡がる。一階には、エントランス部と回転扉で仕切ることのできる１０畳の多目的室と６畳の寝室、さらに壁／窓ともに二重構造とした１０畳の防音スタジオを設置した。
檜の階段を上がると、片流れを活かした吹抜け１８．５畳のＬＤＫに、５．５畳のゲストルームが続く。高い位置に開口があるため明るく開放感に溢れ、また夏場にも熱を逃がしやすい。リビングから繋がるバルコニーには耐腐食性に優れたセランガンバツ材を採用。窓上部の外壁には高高度からの日差しを防ぐ独自の遮光スリットも配置した。キッチン上のロフトには、作業場所としてはもちろん寝室としても十分に利用できる８畳のスペースを確保。
住宅の密集する都市部において、種々の制限のなか空間を無駄なく活用し、延べ１３０平米超の居住域を具現化できたことは、設計／施工者としても大変嬉しい結果である。